令和7年度事業方針(令和7年3月14日現在) | 滋賀県立文化産業交流会館
滋賀県北部の芸術文化活動の拠点として文化産業交流会館は、湖北地域の豊かな自然や歴史、文化のもとで、引き続き多様な分野との連携に努め、施設の機能を活かした魅力ある舞台芸術を幅広い世代の方に伝えていく。
2025年度は、「2025年大阪・関西万博」の開催年にあたることから、長栄座「湖北百景」では余呉の羽衣伝説をテーマにして、日本を代表する古典芸能である「能」を国内外に発信する。また、秋に滋賀県で開催される「国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会」の大会スローガン「湖国の感動 未来へつなぐ」のもと、子どもや青少年が、湖北地域の文化資源を題材にした「邦楽ミュージカル」を演じる。さらに、同大会の文化プログラムに芝居小屋「長栄座」夏のフェスティバルが参加するなど、開催機運が高まる取り組みに努める。
イベントホールでは、多目的に使える機能を活かして、芝居小屋「長栄座」での「夏のフェスティバル」、ベビーカーのままでも入場できる「0歳児からのコンサート」、マーチングバンドの祭典「フィールドアート」、そして新たに、パフォーマーと演奏家とで繰り広げるサーカスショーなど、当館の独自性を発揮した企画を実施する。また、県内の学校・団体と連携しながら中学校・高等学校の生徒を対象に、連携協力・協定を締結しているプロの吹奏楽団による初心者向けクリニックと演奏会を開催し、県北部の音楽文化の普及・振興を図る。
小劇場では、滋賀県ゆかりの新進アーティストのコンサートや第一線で活躍するアーティストのリサイタルを開くとともに、びわ湖ホール声楽アンサンブルの演奏を楽しんでいただく。また、県の「北の近江振興プロジェクト」の一環として、当館の滋賀県邦楽専門集団「しゅはり」を活用し、古典芸能を通して北部地域の魅力を発信する。
さらに、産業分野をはじめ多様な分野と芸術文化を通した情報交換会や、「長栄座」事業に併せて伝統的工芸品や特産品等の展示・販売を行う。また、公益財団法人平和堂財団から滋賀県ゆかりの若手演奏家を育成する音楽事業を引き続き受託し制作する。
会館経営においては、国、公益法人、民間等の補助金、協賛金や文化基金の獲得とともに、新幹線米原駅から徒歩7分に立地する利便性の高い多目的施設であることをさらに周知し、自主事業の集客を図るとともにイベントホールでの様々な貸館利用を促進し、施設の稼働率と収入の向上に努める。
また、施設運営においても、どなたでも気軽に足を運んでいただける雰囲気づくりや環境の整備に努め、常に社会や地域に開かれた芸術文化活動の拠点を目指す。
令和7年度事業の概要
(1)自主事業
滋賀県文化振興基本方針(第3次)の基本目標を実現するため、滋賀県障害者文化芸術活動推進計画(第2次)も踏まえ、当財団の中期経営計画(令和3年度~令和7年度)に基づき、次の7つの目標に向かってびわ湖ホールと連携のもと各種事業に取り組む。
ア.古典芸能を次世代に
「長栄座」事業は、片山九郎右衛門師と滋賀県ゆかりの能楽師を迎え、質が高 く親しみやすい古典芸能の自主制作公演を目指す。併せて古典芸能の理解や興味を深めていただくための講座を行う。
令和7年度で15年目を迎える芝居小屋「長栄座」をイベントホール内に設営し、「夏のフェスティバル」を開催する。幕開けは、びわ湖ホール声楽アンサンブルによる「美しい日本の歌」米原公演、2日目は子どもたちに伝承遊びや昔遊びの体験、3日目は藤原道山(尺八)と片岡リサ(箏)による演奏会、最終日には、自主制作公演「湖北百景-羽衣舞う余呉」を開催し、日本の文化を次世代に伝える。
イ.子ども・青少年の健全な育成のために
子どもたちに古典芸能に興味を持ってもらうための「古典芸能キッズワークショップ(箏・日本舞踊)」を実施し、修了後は、「箏曲ジュニア・アンサンブル」「中学生高校生のための日本舞踊教室」(びわこ文化センター)に進み、ステップアップを図る。なお、箏の指導は、当館と連携・協力協定を締結している大阪音楽大学の教授や出身者が担う。
子どもや青少年が、お互いを認め合いコミュニケーション能力を身につけながら舞台創作活動に参加する「ユースシアター事業」では、健全な育成と文化芸術への関心とともに、地域の魅力を知り愛着や誇りを感じる心を醸成する。また、邦楽の演奏家を県内の小・中学校へ派遣する「和のじかん」を実施し、邦楽器による演奏や体験を通して、古典芸能を身近に感じてもらう機会とする。
さらに、令和5年度に連携・協力協定を締結した「シエナ・ウインド・オーケストラ」(一般社団法人ジャパン・シンフォニック・ウインズ)による、中学校・高等学校の生徒等を対象とした、楽器の取り扱いなどを初歩から学ぶクリニックと演奏会を開催し、青少年の音楽活動への意欲を高める。
ウ.新進アーティストの飛躍のために
「邦楽専門実演家養成事業」は、邦楽の実演家としての資質を高め、修了後は、当館の滋賀県邦楽専門集団「しゅはり」のメンバーとして、当館および地域で演奏や体験活動を行い、古典芸能の魅力を伝えていく。また、県から受託する「北の近江振興プロジェクト」とも連携して事業内容の充実を図り、より高い水準の邦楽演奏家の輩出を目指す。
「びわ湖ミュージックフォレスト」は、平和堂財団から受託する次世代音楽事業「鳩の音楽会」「芸術奨励賞(音楽部門)」「びわ湖ミュージックハーベスト」とともに、世界に向けて挑戦する滋賀県ゆかりのアーティストを育成・支援する。なお、平和堂財団の受託事業は、引き続きしがぎん経済文化センターとの協働により内容の充実を図り、その成果を当館事業に活かしていく。
エ.文化芸術による共生社会実現のために
イベントホールの特性を活かしながら障がいの有無にかかわらず、鑑賞マナーを緩和し、誰もが楽しんでいただけるオーケストラによる「0歳児からのコンサート」や、小さな子どもから外国の方まで楽しんでいただける言葉を使わないサーカスショーを実施する。また、「邦楽ミュージカル」では、試験的にヒアリングループ席やカームダウンスペースを設けるなど、障がいのある方にも多彩な文化芸術に親しめる環境整備に努める。
オ.2館の連携による相乗効果
びわ湖ホール声楽アンサンブルが出演する「びわ湖の春 音楽祭」、芝居小屋「長栄座」での「美しい日本の歌」米原公演を開催し、県北部地域での顧客創出を図り、びわ湖ホールへの関心も高めていただく。また、当館で出演するアーティストの公演をびわ湖ホールにおいて開催するなどの連携も引き続き行い、広く紹介していく。
カ.施設の特性を活かした多様な舞台芸術を恒常的に
舞台芸術公演の実施にあたっては、古典芸能、クラシック音楽に加えて、ポピュラー音楽コンサート等、他の分野も充実させることで多様なニーズに応えられるラインアップとする。
イベントホールでは、可動式椅子の特性や移動式音響反射板を活用し、客席の半面を舞台のアクティングエリアとして使用するマーチングバンドの祭典「フィールドアート」、子どもや青少年が出演する「邦楽ミュージカル」、吹奏楽のクリニックと演奏会などを開催する。また、「長栄座」事業やポピュラー音楽コンサートに加え、新たにサーカスショーを開催し、多彩なジャンルの企画をバランスよく計画し、幅広い年齢層が楽しめるようバリエーションを拡充する。
小劇場では、滋賀県にゆかりがあり、今後の活躍が期待される若手や第一線で活躍するアーティストによる室内楽のコンサートや、小学生から実演家までの古典芸能事業の発表会や演奏会を開く。また、文化講座(びわこ文化センター)では、子どもから高齢者までを対象とした各種講座を他の会館事業とも連携して開講する。
キ.産業分野との連携
産業分野をはじめ多様な分野と芸術文化を通した地域振興について考える「ビジネス・カフェ in 文化産業交流会館」を開催する。また、芝居小屋「長栄座」での「夏のフェスティバル」に併せて、県関係課や湖北地域の観光協会等の協力を得て、「近江のあたらしい伝統産業展」を実施する。
(2)広報
ア.広報営業活動
情報誌「湖響」(年4回)への記事掲載や中日新聞、京都新聞への寄稿、自治体広報紙、ホームページおよびSNSによる情報発信、福井県、岐阜県エリアを含む新聞・放送局への資料提供や、事業協力名義等を得てテレビ・ラジオ、雑誌・情報誌等による広報を行う。
また、びわ湖ホール友の会会員特典の招待公演として、当館公演も組み入れるなど、びわ湖ホール、地域創造部を一体的にとらえ、それぞれの営業機会を相互に活用しながら効果的な営業活動を行う。
さらに、近隣の商業施設や自治会等に毎月、事業案内を行うとともに、引き続きダイレクトメールの送付やメールマガジンを配信する。
イ.チケット販売
インターネットによるチケット販売をはじめ、団体販売やこれまでに蓄積した顧客リスト等を活用しながら、効果的な販売活動を行い、入場料収入の増加や顧客の拡大に努める。
また、びわ湖ホールチケットセンターでの販売、専用のチラシラックの設置、ダイレクトメールの一括発送、公演時のチラシ挟み込み等を2館で協力しながら、チケットの販売促進に努める。
ウ.アートフレンド(Eメール会員)
インターネットによるチケット販売や公演アンケート等でメールでの情報提供を許可いただいた方へ、定期的にチケット販売や公演についてのトピックスを配信する。
エ.施設利用促進
イベントホールの音響設備、小劇場の照明・音響設備、会議室、練習室等の改修・改装、備品を整備したことなどをPRするとともに、親しみやすい会館パンフレットを作成し、新規顧客の開拓やリピーターの確保等、施設の利用促進を図る。
(3)施設の提供
多様な方々が利用する公共施設としてバリアフリー・ユニバーサルデザインの視点に立ち、利用者の安全確保を最優先として、人に優しく環境に配慮した効率的な管理運営を行う。また、ロビー周りの文化施設としての雰囲気づくりにも努める。
また、開館して38年目を迎え施設が老朽化する中、計画的な改修が行われるよう県に引き続き要望していく。
(4)管理運営
効率的な施設運営に努めるとともに、法令に基づいた適正で安全な管理と良質なサービスの提供を行う。また、利用団体や貸館利用者へのアンケートによる満足度調査、ご意見箱の設置、さらに対話により、利用者の意見・要望を把握し、業務改善に努める。
ア.会館管理運営
受付や窓口業務等接遇においては、公平で丁寧な対応に努めるとともに、障がいのある方もどなたに対しても合理的配慮を提供できるように努める。
また、舞台技術、施設管理面で経験豊かな人材を配置し、文化施設としての機能はもとより産業展示等にも対応したフレキシブルな管理と技術提供を行う。利用者には、技術的側面から催事の進行を支援し、要望に応じた細やかな舞台技術を提供する。
災害発生時または発生の恐れがある場合には、防災体制をとり、関係機関への情報提供と協力依頼を行い、利用者の安全確保に努める。なお、消防訓練は、年2回実施し、消防設備の取り扱いや通報、避難誘導が的確に実施できるよう職員教育を行う。
イ.人材育成
職員の意識改革と資質の向上を図ることを目的に、びわ湖ホールと連携しながら職場研修、自己啓発研修、職場外研修の3つの視点から職員研修を継続的かつ発展的に実施する。さらに、アートマネジメント研修や舞台技術研修、公益法人に関する実務研修、会計研修等に参加し、専門的知識の習得に努める。
令和7年度自主事業
令和7年度自主事業一覧(3月14日現在) 滋賀県立文化産業交流会館(PDF 287KB)
令和7年度自主事業カレンダー(3月14日現在) 滋賀県立文化産業交流会館(PDF 87KB)