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お勧め漫画 箏編 | ペコ丸の古典芸能よもやま話

こんにちは。ペコ丸です。
今回は、少し弁財天から離れて、日本音楽や伝統芸能にまつわる漫画の紹介をしてみたいと思います。
もともと僕は、大の漫画好きで、伝統芸能をテーマにした漫画もよく読んでいます。
その中から是非、お勧めしたい漫画がいくつかあります。今回は箏をテーマにした漫画です。

『この音とまれ!』
作者:アミュー/出版社:集英社

作品紹介

先輩が卒業して箏曲部ただ一人の部員になってしまった武蔵。四月になり新入部員の勧誘に励むのだが、部の存在自体を知らない人も居る状態。そんな彼の前に現れた、見るからに不良で箏とは縁の無さそうな新入生が入部したいと言い出して!?(集英社『この音とまれ!』紹介文より)

僕の飼い主は箏にはあまり詳しくありませんが、声楽と合唱をしているので、音楽は好きです。僕もよく一緒に歌っています。声は百人いれば百人違う声を持っていて、同じ曲でも、技術や曲の解釈なども相まって一人ひとりの演奏が異なるということは分かりやすいように思います。
この漫画では、箏という楽器においても、一人ずつが持つ「音」が違うことが当たり前であることに気づかされました。例えば、八橋検校(やつはしけんぎょう)が完成に導いたという≪六段(ろくだん)調(しらべ)≫という有名な箏曲(そうきょく)があります。学校でも習い、お正月でもよく耳にする曲です。僕たちは、普段BGMとして耳に入ってくることが多い(ため)か、こういった邦楽(古典)にも曲がもつ物語の他に、奏者が奏でる物語があるということを忘れてしまっていました。
作中では、登場人物たちが≪六段の調≫を通し、自分の音というものに目覚めていく様子が描かれています。音を追い求めていく様は心に残り、漫画を読んだ後、YouTubeで色々な方が演奏している≪六段の調≫を聴いてみたほどです。箏という楽器を通じて、音を追求していくということに興味を持たせてくれる漫画だと、僕は思います。

そして、この漫画では、合奏という面白さも描かれています。僕も合唱をしているので、お互いの「音を聴く」「音を合わせる」ということが、いかに感覚的なもので、訓練が必要かということは知っているつもりです。ですが、合唱には指揮がありますが、邦楽には指揮がありません。指揮なしで、皆が音を合わせ、曲想を練りながら心を合わせ、曲を仕上げていくことの難しさと楽しさが丁寧に描かれていました。また、作中では、主人公の高校以外にもたくさんの高校箏曲部が登場し、実際にあるコンクールの全国大会出場を目指します。高校生ならではの、爽やかな青春群像劇も、清々しいです。僕も、これほど何かに打ち込むという経験をしてみたいものです。

作中では古典から本作オリジナルまで多種多様な曲が紹介されています。箏に興味をもった人が聴いてみることで、さらに身近に感じていくことができる魅力の一つだと思います。作者が幼い頃から箏に触れており、箏曲に対しての造詣(ぞうけい)があるということも、興味深く伝えられている要因ではないかと思います。

なお、2017年には、作中に登場するオリジナル曲がCDとなり、文化庁芸術祭で優秀賞を受賞しています。下記リンクは、作中オリジナル曲の1つである≪流星群≫です。

僕たちがいる現代日本では、僕も含め、圧倒的に箏の音色を聴く機会が足りていないように思います。そのような中、2021年10月時点では、漫画の累計発行部数が550万部を超えているとのことで、それだけの人が、箏の世界に触れたということはすごいことではないでしょうか。この漫画を読むまでは、箏の音色を聴くと「正月みたい」と思っていましたが、箏曲は正月のBGMに限ったものではないし、季節限定楽器でもないのです。日常的に弾いたり聴いてみたくなる楽器に少し近づけた、そんな漫画だと思うのです。

最後に、Youtubeで格好いいと思ったTRiECHOESというユニットの≪Shape of You (箏/Koto cover)≫を紹介します。

TRiECHOESは、高校時代の筝曲部メンバーのユニットだそうです。メンバーリーダーの高校時代がまるで『この音とまれ!』のようであることも印象的でした。

7月30日(土)、31日(日)に開催する「長栄座伝承会 むすひ」にもお箏の演奏がたくさん登場します。

また、8月3日に行われる長栄座主催の「親子で楽しむ日本の伝統芸能2022」でも、箏の体験をしていただけます。箏に触れたいと思う人が増えてほしいなと思うペコ丸でした。

ペコ丸(代筆:平山聡子)

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